秘密───封印された教室で───







罰則の為に呼ばれているのだ、と言えば誰も疑わない。
だから夜になってからでもふたりきりの時間は作れる。
夜などすぐに訪れる、なぜ待てないのだ、とスネイプは口の端だけで笑った。

「待てないものは待てないんだから、仕方ないでしょう?」

随分可愛げのない言いようだ。
だが、さっきまで行われていた薬学の授業中には到底口にできない生意気な言葉を
濡れた唇から吐き出すこと自体、大いなる誘惑なのは間違いない。

「早く、扉に魔法かけて。」

「貴様はふたりになると途端に威張りだすな。我輩をこき使うとは恐れ入る。」

「だって傍に優秀な魔法使いがいるのに、半人前の僕がやる必要ないでしょう?」

「半人前でもできる作業を目上の者にやらせる度胸が凄いと言っておるのだ。
 貴様は一体、我輩を誰だと思っている?」

絡みついてくる細いからだを抱き寄せ、どっしりとした椅子に腰かけて膝の上へ座らせながら
スネイプは苦笑した。
自らローブを脱ぎ、制服のボタンを外し、ネクタイを緩めたハリーは、そんなスネイプを
すでに熱で潤む瞳でうっとりと見上げていた。

「誰……って……セブルスだよ?」

甘く吐息にかすれた声がスネイプの首筋にかかる。

「……恋人同士で素敵なコトするんでしょ?だったら、あなたが鍵かけるの、当たり前だよ。」

「……なるほど。」

いい加減な理屈だが、スネイプはそれ以上文句も言わずにドアへ向けて小さく杖を振った。
ほんのわずかな時間さえ待ちきれない、とばかりに唇を寄せてくる若い肢体も、
やろうと思えば魔法で一気に全裸にしてしまえるが、それほど無粋な真似をするつもりはない。
スネイプはわざとゆっくり、ハリーの肌を暴き、じれったそうに差し出される赤い舌をぺろりと舐めた。

「先生の意地悪……」

「おまえは堪え性がないな。」

「だって……」

「まあ……いけないことを覚えたばかりの子供など、そんなものだがな。」

「そうやって子ども扱いしてればいいよ。そのうち、あなたの方が我慢できなくなるんだから───」

生意気な生徒はそう囁いてスネイプの胸に全身を預けてきた。














gin's works @ 2013.4.23up